〜八高音楽部・復活期〜

連載第6回・〜伝説のBlillannte Consert〜



1996年12月23日は、私達51期生にとって忘れられない特別な日。
後輩諸君はどれだけ知っているのだろうか。
"Blillannte Concert"と題して行われた、本当に小さな手作りの演奏会のことを。


私は今、その時のプログラムを見ながらこの文章を書いている。
しかし、文字にした所でどれだけ伝えられるのだろうか。
あの時の、あの雰囲気を、あの気持ちを・・・・・・・・・・
ピンク色の薄いA3の用紙に両面刷りされたプログラム・・・すべて手書き。
表紙には天使の絵と数行の言葉。

         Blillante〜輝きをもって〜
  私達は人数も少なく何も分からないまま、何とか今日までやってきました。
  それも皆さんの輝きを分けてもらったからです。これからは私達自身が
  輝けるように・・・そして大好きな合唱を通して知り合った皆様に感謝の意を
  込めてBlillannte Concertを開きます。

         
一年間、私達がどんなに支えられてきたのか・・・伝えたかった。
一人でも多くの方に聴いて欲しい、仕事を持っておられる方にも。
「夜に開こう!」→学校サイドに相談。→夜に行うのは駄目。
自分達の力のなさに気づいた。


そのピンチを救ってくれたのは・・・・・・家族だった。
勉強もろくにせずに、音楽部一色の毎日。
親としては文句の一つも言いたくなるところではなかったか。
・・・理解してくれた。誰よりも親がわかってくれたことが、嬉しかった。
親達で集まり、話し合いをもち、「主催を保護者に、八高音楽部としてではなく、一夜限りのBlillannte
という団体名での演奏会ならどうか。」そう、校長先生に話しに行ってくれた。
迷惑をかけたのに、『よう、こんな(いい)演奏会考えたな!』っていってくれた。
・・・あぁ、頑張ったらちゃんと認めてもらえるんだって、16才の心は温かかった。


私達も少しずつ準備を進め、あっという間に時は流れた。
演奏会間近、部員は8人になっていた。
・・・・・・当日。
八鹿町民会館大会議室集合。
練習で頭が一杯の私達をよそに、親達が町中を走り回り、部屋を飾り付けてくれていた。
手書きの看板、受付には小さなクリスマスツリー・・・自分達の舞台が出来上がった。
『自分達で作ろうな!』って言いながら、結局舞台まで作ってもらった。
・・・・・・・開場時間。
不安に反して、ぞくぞくと人が集まる。
でも、全員知っている人。全員が来て欲しかった人達。
・・・・・・・開演。
みんなの心が一つになる。"さあ、輝こう!"


第一部  
♪みんなで歌おう 心をひとつにして 悲しい時も 辛い時も・・・♪
     『マイ・バラード』でスタート。
      伴奏A氏。指揮H先生。『切手のないおくりもの』『矢車草』『時無草』。
      一年間の思い出が、頭の中を駆け巡った。


第二部  西川の独唱で始まる。思えばこれが彼女の初舞台。
     リハーサルの時点で泣いてたね。一年間・・・本当に頑張ったもんね。
     小野塚・西川の二重唱。
     部長と副部長。人一倍走り回った。悩んだ。怒った。泣いた。笑った。
     一緒に歌えて・・・・・・・良かった。
     小野塚・西川・A氏の三重唱、『マイ・ウエイ』。
     一年間ずっと、伴奏をし続けてくれたA氏。
     私達の信じた道、一緒に歩んでくれて・・・・・ありがとう。


第三部  伴奏A氏。指揮Jr先生。
     『夢をあきらめないで』・・・・・何度もあきらめかけた。
     『Tomorrow』・・・・・・・・・・でも明日を夢みた。
     『夢の世界を』・・・・・・・・・復活の世界を!
     『瑠璃色の地球』・・・・・・・・あなたがいたから 生きてこられた。
     そして、これこそが私達の一年間。・・・
『PIECE OF MY WISH』


・・・・・・終演。
涙が止まらなかった。
このメンバーで良かった、そう思った。


けれど、これで終りじゃなかった。
見送りのサリマライズを歌っても、残ってくれるお客さんがいた。
3年生の先輩方に、セイティブの方々・・・・・・
「みんなと一緒に歌いたい!」と申し出てくださった。
『瑠璃色の地球』混声合唱。
誰もが笑顔。
ハーモニーって、こうやって作るんだって思った。
心と心を重ね合わせて・・・・
そして八高出身者で『校歌斉唱』。
時代は違っても、同じ青春時代を過ごした証。校歌一つでそれが分かる。
校歌のすごさを感じた日。
みんな涙でぐちゃぐちゃだった・・・・・・・幸せを感じた日。
頑張ってよかったって、初めて実感した日。
音楽が、好きになった日。
それ以上に、家族に感謝した日。


1996年12月23日に・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう。


連載第7回に続く。

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